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ザゼンソウ サトイモ科 ザゼンソウ属 
2006年3月5日 下伊那郡阿智村 Canon EOS 5D EF70-200mmF4L(200mm) F/8.0 1/15sec ISO100

ザゼンソウは本州・北海道に分布し、低地〜山地の湿地に生える多年草。名の由来は黒頭巾をかぶったお坊さんが座禅を組んでいるような姿から。外側の黒紫色のものを仏炎苞といい、その中心部に位置する棍棒状のものが花序である。肉穂花序に並んでいる六角状のものが1つの花で、4枚の花被片があり、その中心部から4本の雄しべと1本の雌しべがでる。フクジュソウとともに、雪が解けるとすぐに見ることのできる花である。葉を展開する前に花を付け、その後、葉はどんどん伸びて40 cmほどになる。花には悪臭があり、英語名はスカンクキャベツという。
 ザゼンソウの驚くべき特徴に、花が咲くときに熱を発することがあげられる。花が発熱する現象は、ハスやサトイモ科植物で知られており、特にザゼンソウが有名である。早春の寒さの中で、花は15〜35℃の温度を保っている。花のひとつひとつの細胞の中にある「ミトコンドリア」と呼ばれる「エネルギー発生器官」の働きを活発にさせることで、高い熱を作り出すのである。寒い気候の中で自ら花を守り、仏炎苞の中を快適な暖房ルームにして虫を誘う素晴らしいメカニズムを持った植物なのである。実際、積雪の中で咲いているザゼンソウの周りはポッカリと雪が解けてしまう。