前の日 3月28日


シキミ シキミ科 シキミ属 
2006年3月19日 豊橋市 石巻地区 Canon EOS 5D EF50mmMacro F/5.6 1/200sec ISO1000

シキミは宮城県以西の本州、四国、九州、沖縄に分布する常緑の小高木。お墓に「花の木」として供えられ、各地で仏事用に栽培されているが、神事に使われるサカキに比べると、かなり少ない。花期は3月〜4月。花は透明感のある淡黄色で、なかなか美しい。葉は香りがあり、線香や抹香に使われる。「抹香臭い」という言葉は、この木の香りのことを指している。全株に毒性がある。特に果実は毒成分が多く「毒物及び劇物取締法」という法律で、植物で唯一、劇物に指定されているほどで、「悪しき実」が略されてシキミになったといわれている。
 この有毒植物が、実は今、時代の寵児となっている。シキミから合成されるシキミ酸が鳥インフルエンザの特効薬と目される「タミフル」の原料となるからである。近年ではその仲間であるトウシキミの実から生産されている。トウシキミの実は中華料理で香辛料として用いられる「八角」で、中国ではタミフル生産のためにこれが大変な品薄になっているとのことである。ともあれ、毒も用い方で薬になる事の一例である。逆を言えば薬も用法を誤れば毒となる事も多いので注意が肝要である。