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シキザクラ バラ科 サクラ属 
2005年11月27日  足助町 香嵐渓 Canon EOS 5D EF17-40mm F4L f/16 1/160sec ISO1600

サクラといえば、厳しい冬を乗り越えて訪れる春の、生命の息吹を最も感じさせる花で、日本人の誰もが愛する花であるが、実はサクラのルーツはヒマラヤ地方で、もともとは秋に咲いていた。ヒマラヤのあるネパールは緯度で言うと日本の奄美大島とほぼ同緯度。そして標高1,400〜2,000mのこの地方は、月毎の平均気温の差があまりなく、強い風も吹かないためにサクラにとっては暮らしやすい土地である。この気候穏やかなネパールから季節風に乗ってやってきたサクラの子孫達は、春夏秋冬と季節変化の激しい日本列島で独自の進化を遂げることになる。日本の環境に適応して生きていくために、冬を休眠という形で乗り切る遺伝的性質を身につけたのである。そうして、春になると葉に先駆けて枝いっぱいに花を付け、一気に生命力を爆発させて、その美しさを誇示する。
しかし、一部に先祖の性質を強く残し、秋に花を咲かせる種類がある。シキザクラもその一種である。花は10〜12月に全花蕾の1/3、4月に残りの2/3が開花する。一重小輪の直径2.5cmほどで、咲きはじめは淡白紅色で、満開近くになると白色に変わる。シキザクラといえば小原村が有名であるが、此処、香嵐渓でも2株ほど、満開に咲いていた。