【11:30 右俣にて】

二俣で20分の大休止をとって、右俣ルートへと進んだ。
ここから小太郎尾根までが思いの他長く、急な草付き斜面やダケカンバの木立の中を延々と登ることになり、バテバテになった。
厳しく長い登りではあったが、いよいよ「花の山」に相応しく高山植物が次から次へと咲き誇り、カメラを構えるのも忙しくなった。 中でも印象に残った花はラン科の「キバナノアツモリソウ」で、この花に出会えただけでかなり幸せな気分になってしまった。


【13:10 雪田】

二俣から尾根までのちょうど中間点にある「雪田」。
二俣から2時間半あまり掛かった。それまでダケカンバの木立の中を歩いてきて急に視界が開けるところである。シナノキンバイを始め美しい花々が咲き乱れて疲れた体を癒してくれた。
しかし、ここはまだ尾根までの半分の行程であり、見上げる稜線はまだまだ遠い。


【14:30 草すべり】

「雪田」からは更に急勾配の登りとなった。「草すべり」である。なんだか優雅な名前で口笛を吹きながら登れそうだが、草も滑り落ちるという意味の急な斜面なのである。既に歩き始めから6時間以上となり、疲れも増して喘ぎ喘ぎの登りとなった。子供も相当バテてきて口数も少なく、立ち止まって動けなくなる回数が増えてきた。肩の小屋は尾根の裏側なのかまったく見えないので不安も募る。
ただ、相変わらず花は至る所に咲いていて、眺めは実に素晴らしかった。


【15:00 小太郎尾根】

のろのろと進むうちに午後3時ちょうど、やっと小太郎尾根に着いた。ヤレヤレである。これで明るいうちに肩の小屋に着けると思い、ホッと一安心した。


【15:30 小太郎尾根から見る小太郎山と甲斐駒】

小太郎尾根に出た時、それまでどんよりとした曇り空だったのだが、急に青空が見えてきて甲斐駒のダイナミックな姿が浮かび、感激した。仙丈ヶ岳も「南アルプスの女王」と呼ばれるのに相応しい美しい姿を見せてくれて、飽きることなく眺めていたらついつい30分も停滞してしまった。
ここから肩の小屋まで、初日最後のひとふんばりである。

【16:30 肩の小屋】

小太郎尾根からは20〜30分だと思っていたのだが、途中、鎖場のちょっとした難所もあり疲れているせいもあったのか1時間も掛かってやっと本日の宿泊地、肩の小屋に到着した。歩き始めから9時間半の長い道のりであった。
天気は完全に回復して雲一つ無い晴天となった。ザックを下ろして、夕食までの間、壮大な大パノラマを満喫した。




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